Artstylicプロデュース~ゆるキャラ・ポップアートシリーズ
■缶バッジがアートになった日
缶バッジは、身につけるもの。
缶バッジは、飾るもの。
でも私たちは今、こう言いたいのです。
缶バッジだって、アートにできる。
そして実際に、Kiyo Gocochiでは提携先の「Artstylic」がプロデュースする「ゆるきゃらポップアート」シリーズの第一弾として、缶バッジを素材としたポップアートフレームを制作・販売しています。
今回はその代表作《月面ピースの伝説》を使った缶バッジのポップアートフレームと、新作ファブリックパネルをご紹介します。
以下はアート関連のサイトを運営し、この作品の制作者でもある「Artstylic編集長」に執筆して頂きました。
■缶バッジには“語る力”がある
缶バッジの歴史をたどると、そこには「表現の道具」としての顔があります。
1960年代、ジョン・レノンとオノ・ヨーコは、
「WAR IS OVER(IF YOU WANT IT)」という平和メッセージを、
ポスターだけでなく、缶バッジという手軽で人の目に触れる媒体でも発信しました。
缶バッジは、身につけることのできる“ミニチュアポスター”。
小さな面積に、思いを乗せられるメディアなのです。
■月に立つKiyoにゃんが、ピースを掲げる
今回のアート作品《月面ピースの伝説》では、
宇宙服をまとった「Kiyoにゃん」が月面に立ち、ピースサインを掲げています。
このKiyoにゃんをプリントした缶バッジを、中央に1つ配置。
そのまわりに、色や種類の異なるKiyoにゃん缶バッジを4つ加え、5個の缶バッジで構成されたフレームに仕上げました。
全体はポップでカラフルな構成に。
どこかで見覚えがある方もいるかもしれませんが…
ポップアートのモチーフを色で変奏しながら並べる手法を取り入れています。

■推し活で人気の「痛バ」も、飾り方のひとつ
缶バッジを、「ぎっしりバッグに詰める“痛バ(痛バッグ)※」もお推し活をしたい人には人気の飾り方。
ライブやイベントに持っていけば、推しへの愛を全力で表現できます。
ただ、「外ではちょっと目立つかも…」という方は、室内で痛バを飾るのもおすすめ。
スタンドに立てかけて“推し祭壇”のようにすると、空間全体が応援ムードに!
※「痛バ」は見た目が「痛々しいバッグ」という言葉が短縮されたものですが、今では肯定的に使われています。
それでも、やはり「痛バ」を否定的に感じる人も一定数いるので、どこで使うかという、TPOが大事とされています。
■ポップアートとしての構成と意味
この作品に込めたのは、かわいさとユーモア、そして、ちょっとだけ考えてもらえる余白です。
- オリジナルキャラクターという“親しみ”
- 市販の缶バッジという“身近な素材”
- 意図ある配置と反復という“構成美”
- そして中央にだけ込められた“ピースのしぐさ”
缶バッジで「平和へのメッセージ」を込めたアートをつくる。
それはただのゆるキャラグッズを超えて、「こんな表現もあっていいんじゃない?」という、ささやかな「現代アート」「ポップアート」としてのアプローチを試みたものです。
■こんなもののどこが?~「ポップアート」「現代アート」とは何かを問う
この作品に込めたのは表面的には「平和」へのメッセージですが、実は、もうひとつ、裏のメッセージがあります。
ダブルミーニングならぬ、ダブルコンセプトです。
こんなもののどこが「ポップアート」なんだ、と思われる方が殆どかとは思いますが、実はそれこそが、この作品のもう一つのテーマ、メッセージです。
確かに、殆どの方は鼻で笑い「こんなものをアートと呼ぶなんて何考えてるの?」と否定されるはずですが、現代アートの父とも呼ばれるマルセル・デュシャンの「泉」という作品や、ポップアートの第一人者的なアンディウォーホルの「ブリロボックス」をご存じなくて、そう思われたなら、是非、こうした作品を知っていただければと思います。
「これらのもとになる、ゆるキャラの「kiyoにゃん」のイラストから、Artstylicが創造したから、アートと呼べるんだ」ということでもありません。(「泉」も「ブリロボックス」も、作家は自分で作ったものを使っていないどこにでもある「レディメイド」の作品です。)
この作品は、そういった現代アートやポップアートに全く馴染みが無いという方に、「アート、そしてアートという言葉について考えてみる」というほんの少しの入り口、きっかけをご提供してみようという試みです。
Artstylic的に言えば、この作品は「ART」ではなく「NOT ART」なのですが、ややこしくなるので「ART」だと言い張っておきます。
デュシャンの「泉」へのオマージュとして、記念に作家のサインを入れて、缶バッジを取り出せないようにフレームを接着したオリジナル限定品も販売しておきました。
売れるとか売れないとかでなく、作品として言い張るため…ですが。
■ファブリックパネル版も制作しました
同じテーマを、布というメディアで展開したファブリックパネル版も制作しました。
こちらでは、Kiyoにゃんが掲げる旗に、
ジョンとヨーコの活動に影響を受けた、私たち自身の平和の言葉をプリント。
フレーム作品とはまた違う、やわらかく、静かな表現です。
インテリアとして「飾れる平和へのメッセージ」を、あなたの空間にそっと添えてみてはいかがでしょうか。
■小さな缶バッジから、言葉よりも静かなメッセージを
「月面ピースの伝説」とは、平和を訴えるために宇宙に飛び出していったKiyoにゃんの物語です。
缶バッジは、派手な主張ではなく、小さな問いかけの形をしています。
「これ、なんだろう?」
「なにを伝えたいんだろう?」
そんなふうに感じていただけたら、このアートは完成です。